2016年2月6日土曜日

イケてない日本の政治のデザイン

デザインがもっとも活用されていない分野のひとつ、日本の政治。

デザイナーという職業柄、様々な業界の方々と知り合いますが、あんなにダサい業界もなかなかないと思います。

かつては農業もダサかったけれど、「食」や「暮らし」を大切にする価値観から「農」や自然に近い生活が見直され、ずいぶんと印象が変わりました。

でも、いまだに選挙は「実際に行って、(投票用)紙に書く」という超古典的な方法で、スマートじゃなくてかっこ悪い。選挙ポスターのビジュアルのダサさは救いようがない。お互いの悪口を言い合うような演説もぜんぜんかっこよくない。大音量のスピーカーで「清き一票」と訴え続けるのも迷惑の限り。(古い方は、支持者の選挙カーが自宅近くに来ないと怒るらしいけれどw)

ほんと、「イケてない」というのが多くの方々の共通認識じゃないでしょうか?

しかし、本人たちは声を枯らし、涙ながらに燃えている。この距離感、この温度差!これが冷静な市民をますます冷めさせているのではないかと思います。


<おきまりの選挙ビジュアル。デザイナーを目指しているみなさんはこんなビジュアルを視界に入れてはいけません。目を訓練するために、美しいものを見ましょうね。>

私はデザイナーなので、やっぱりこの日本の恥ずかしくダサい選挙と政治をかっこよくしたい!だってね、アメリカの選挙ってもう少しかっこよかったんです。美しい街も、選挙になると、このダサダサのポスターがたくさん貼られ、ひどい景色にされてしまうのがとても悲しいんです...!


(日本でもよく見られたと思います、オバマ大統領の最初のキャンペーンビジュアル)




















(これはフロリダの選挙の時のもの)

世界中のデザイナー友達によく言われてきました。日本はパッケージにしても、商品にしても、とってもかっこいいのに、どうしてウェブだけあんなにダサいの?って。ww 最近までネット選挙が禁止だったから、選挙や政治のデザインを友達は知らないけど、この事実を見たら、みんな「うわ!日本、ここだけめちゃくちゃダサ=!!!」と驚くだろうなぁと思います。

でも、探してみたら、ちょっとはマシなものもありました。



この青い枠がイライラさせますが、ポスターだけ見ると、かなり潔くて、ずいぶんとマシだと思います。

でも、なんといっても最近で一番成功しているだろうと思うのはこの方。



街中のポスターも、選挙ポスターも、ウェブサイトも選挙カーも一貫したビジュアルを使用しています。

他候補と明らかに違う写真は自然体ギリギリのところまでほどよく演出され、コントラストを強めにしたことでとても力強い印象になっています。





















コピーの「声を力に」に「。」をつけ、さらにその「。」を通常より大きめに配置することで、体言止めのような「力強さ」に。


















コピーにある文字「声」「力」、そして、写真や凛々しい眉毛、はっきりとこっちを見る視線、そして目力という、「全体のイメージの力強さ」を受けて、名前の文字にもある「進」からも、「力強く進む」というイメージを焼き付けられます。

いやぁ、ほんとう、よくできている!

お名前を表記しているオリジナルのフォント(タイプフェイス)も他候補との差別化を無意識のうちに見る人に与えていますね。おみごと。

もう上のせとさんが可哀想になるほどの出来の違い...w


でも、そんな小泉進次郎さんも、つい最近の選挙まではここまでの完成度ではありませんでした。



















写真だけは同じものを使用してますが、現行のものと比べると、ビジュアルの完成度が低いのはもちろんのこと、統一感もまだまだ。お名前の文字間に均等が取れていないため、印象としてとても弱いですね。(特に選挙用ポスターの「進」と「次」の文字の間が異様にあいてしまっているのはミスですね)

ね。「イケメン」だからなだけじゃないんです。イケメンでも、その素材を活かせなければ意味がないんですよね。持っている魅力・本質をしっかりと表現していくこと。これがブランディングの基本ですね。

同じ人物でもこれだけの違いが出てしまうのがブランディングの力です。小泉進次郎さんの活躍をきっかけに、もっともっと日本の政治や選挙がかっこよくなっていくことを願います。

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